活字を愛し、活字に愛された弁護士の本棚

or: How I Learned to Stop Worrying and Love the "Words"

ビットコインはいつか必ず破綻するのか

ひろゆき氏の見解
ビットコインはいつか必ず破綻する。
論拠
なぜなら、計算量がずっと増え続ける仕組み。そうすると、必要な電気量も多くなり、(マイニング競争において)電気が安い中国などが有利になる。
中国が世界のマイナーの51%の計算力を持つとどうなるか。ビットコインは改ざんされ放題になって終了する。

 

ひろゆき「僕がビットコインに絶対手を出さない理由」 ※論破求む※ - YouTube

 

まず、自分も「ビットコインはいつか(というかそう遠くない将来に)必ず破綻する」という総論ではその通りだと思っているが、いくつか誤解もあるのでその点を指摘したいと思う。

 

51%攻撃の理解

まず、51%攻撃の理解が間違っているかなと。

51%攻撃 - ビットコイン用語集 - ビットコインの解説 | Bitcoin日本語情報サイト

 

51%取られたら改ざんされ放題というわけでないことは、ホワイトペーパーにも書いてある。

Even if this is accomplished, it does not throw the system open to arbitrary changes, such as creating value out of thin air or taking money that never belonged to the attacker. Nodes are not going to accept an invalid transaction as payment, and honest nodes will never accept a block containing them.

仮にそれに成功したとしても、コインを無から創り出したり攻撃者自身が所有したことのないコインを盗んだりというようにシステムを自由に操れるようになるわけではない。ノードは無効な取引を用いた支払いも無効な取引を含んだブロックも拒絶するからである。

 https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

 

例えば、あるビットコインアドレス内のビットコインを自分のアドレスに送ることは前のブロックの内容に矛盾する取引なのでできない。それはマイニング競争の話は全く別の話で、送金元の秘密鍵がない限りできない。

51%攻撃の例は、例えば私が、ビットコインで飲食できるお店で1ビットコイン分の飲食をしてビットコインで支払い、お店を出た後に、その支払いが含まれるブロックと矛盾するブロックを承認させて、支払いを取り消すことがあげられる。お店に送金した記録が消えてなくなるので、自分は1ビットコイン分の飲食を楽しみ、しかもお金は手元に戻ってくると。デジタルの世界で完結するチートとは少し様相が異なる。

 

51%攻撃のステルスは可能か

昔、アラン・チューリングがドイツ軍の暗号生成器「エニグマ」の解読器を発明したときも、暗号が解読されたことをドイツ軍に知られないように、時には自軍の兵士が死ぬのを分かっていながら奇襲に晒すこともいとわずに、暗号解読機の効果を最大化するための戦略がとられた。

 

 

ただ、ビットコインの場合は、マイニングの占有率は可視化されているので、ステルスは難しいのかなと(裏で結託して見た目上の占有率を分散することはできるけど)。そもそも、電気代の安い国にマイナーが集中することと、その集中した国の中で裏で結託するかはまた別の話で、マイナーからしたら、ビットコインの信頼性が高い方が永続的にシステムから利益を得られるわけで、そうすると皆が51%攻撃に協力するかというとそうでもないのかなと。この辺はゲーム理論で説明がついているところかと。

www.itmedia.co.jp


むしろ量子コンピュータで一方向ハッシュが逆算されるようになったら終わる

ひろゆき氏の動画で量子コンピュータに触れられていたけど、量子コンピュータによる演算が実用化されたら、ビットコインは終わると思う(ただ、その場合、一方向ハッシュを利用した暗号化技術も終わる)。

 

ビットコインアドレスは、秘密鍵を自分で決めて、誰でも作ることができるが、ビットコインアドレスから秘密鍵は絶対に逆算されない。でも、量子コンピュータは演算スピードが桁違いなので、逆算ができてしまう可能性がある。そうするとビットコインが入っているアドレスからコインを抜き放題という状況になってしまう。その意味で、ビットコインがいつか終わるという結論には自分も賛成する。

 

その上で、なんでビットコインにこんなに人が群がるのかというのは、多分そんなに理解していない人が多いからだとは思うのだけど、それ以外にも通貨の相対的な比較の問題とかいろいろ理由があると思っていて、それについてはまた今度書こうと思う。