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一応、メルカリチャージの適法性について検討

 

president.jp

 

結構前にやまもといちろう氏がメルカリチャージが資金決済法や出資法に違反するのでは、という記事を上げていた。

自分は、そんなことないんじゃないかなーと思っていたのですが、久しぶりに調べものをしていたらその後も同じスタンスでディスっていて、周りからも特に異論がない状況だったので、一応検討記事をアップしておこうかなと思います。

 

 

ironna.jp

 

メルカリチャージは収納代行なので適法

結論から言うと、このビジネスモデルは収納代行なので適法ということになります。

 

その説明をする前に、資金決済法の「資金移動業」について説明すると、これは、為替取引、つまり、直接現金を輸送せずに資金を移動することを業として行うことを指します。口座間の振込送金などが典型的な例です。

 

収納代行は、債権取り立ての委託を受けて、文字通り代金の回収を代行することです。

 

で、メルカリの利用規約を見ると、収納代行ということでサービスを構成していることが分かります。

 

第11条 支払及び取引の実行

6.支払手続
(2)出品者は、弊社に対して、購入者から支払われる商品代金(決済事業者または収納代行業者から支払われる商品代金に相当する金員を含みます。)を代理受領する権限を付与するものとします。(略)

https://www.mercari.com/jp/tos/

 

つまり、メルカリは出品者から依頼を受けて代金を取り立てているだけというスタンスです。

 

で、メルカリチャージは、その回収金を次の買い物で使うこともできるようにしている(購入時に相殺している)というわけで、これも問題ない取引ということになります。

 

収納代行自体の問題

ただ、よく考えてみると、法制度自体が混乱しているわけで、収納代行も、現金の輸送以外の方法で資金移動をしているので、論理的に法律を読めば資金移動業の登録が必要な業務だということになるはずです。その辺のことは昔から問題にはなっています。

 

資金決済に関する制度整備について

② 為替取引と収納代行サービス等との関係

これに対し、受領権限という法律構成で判断するのは、遠隔地にある債権者への債務の支払に際し、銀行送金と収納代行サービス等を、ともに債権者への支払のための手段として選択的に利用している経済実態から離れた議論との意見、判例は広く為替取引をとらえており、収納代行サービス等が対象とならないとは解されないとの意見(中略)がある。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20090114-1/01.pdf

 

収納代行が資金移動に該当しないのなら、例えば、Line Payみたいなビジネスも、送金したい先のLine IDとの間で、事前に書面による贈与契約を成立させ、その債権を回収するための資金移動、ということにすれば収納代行の定義の方に入ってくるわけで。立法者がどこで線を引こうと考えているのか良く分からないわけです。

 

こういう状況なら、普通に収納代行ということでビジネスをやろうよねというのがむしろ自然な発想で、もれなくダブりのない定義にするとか、金商法みたいに政令で限定列挙するとかしない立法や行政の側の責任かと。

 

出資法の問題

収納した代金を返金の意思表示があるまで滞留させておくことが「預り金」の概念に該当することが想定されていたのかは、正直よく分かりません。ただ、収納代行する場合、代金を回収した瞬間から債権者に渡すまでに絶対タイムラグがあるはずで、そのお金を預かっている状態がどれくらいまでなら合法なのかを決めないと取り締まりはできないわけです。ところが、1日までならセーフなのか、1か月超えるとアウトなのかとか、どこにも書いてありません。メルカリが出資法違反でアウトなら、収納代行はすべてアウトということにもなりかねません。極端ですが。

 

ということで、少なくとも現状ではメルカリチャージが直ちに出資法違反になることもないと思います。

 

今後について

なお、今後の予想ですが、あまりにも収納代行のスキームだと言い張るビジネスが増えてくるようであれば(Paymoとかもそうですね)、普通に登録が必要が業になっていくのかなと思います。

アメリカでもイギリスでも、収納代行ビジネスに該当するような業態は、海外では普通に資金移動と捉えられているらしいので。

こういうやったもの勝ちな状況は個人的には面白いと思わなくもないのですが、もうちょっと色々整備した方がよいのではないかなとも思います。